相続人とは誰の事? 相続財産を受け取ることができるのは誰になるのか解説します。

相続

産を受け取ることができる人の事を「相続人」と言うことがありますね。
一般的に,遺産を受け取ることができるのは,配偶者,子,親,兄弟姉妹などの親族と思われていますが,実は他にも遺産を受け取ることができる人はいるのをご存じでしょうか。

今回は,遺産を受け取ることができる相続人について説明していきます。

相続人=法定相続人+受遺者

まず遺言がない相続の場合からです。

遺言がない場合の相続人は,
 ・配偶者(民法八百九十条
 ・子(民法八百八十七条
 ・父母や兄弟姉妹(民法八百八十九条
などになります。
この他にも孫や甥姪などが含まれる場合もあります。
配偶者,子,父母,兄弟姉妹は,民法で相続順位や相続割合が決められているため(民法九百条),「法定相続人」と呼ばれています。

そして遺言がある場合(もちろん法的に効力がある遺言に限られます),遺言の中に遺産を遺したい人や団体を書くことができます。
その中でも法定相続人ではない人や団体は「受遺者」と呼ばれていて,遺産を受け取ることができるのです。(民法九百六十四条

つまり相続人とは,遺言がなければ「法定相続人」のみ,遺言があれば「法定相続人」と「受遺者」を指すのです。
では,法定相続人と受遺者について,簡単に説明していきます。

法定相続人


法定相続人とは,「民法で定められている被相続人の財産を相続できる人」と定義できます。
法定相続人には順位があり,順位の高い相続人が相続で優先されます。
では,優先順位の高い順に見ていきましょう。

配偶者

被相続人(亡くなった方)に配偶者がいれば,配偶者は常に法定相続人になります。
もちろん法律上の配偶者に限りますので,事実婚などの場合は法定相続人にはなれません。

第一順位:子

被相続人に子がいれば,子は第一順位の法定相続人となります。
もし,子が亡くなっていて孫が存命の場合は,孫が第一順位の法定相続人となります。
孫も亡くなっていてひ孫が存命の場合はひ孫が,ひ孫が亡くなっていて玄孫が存命の場合は・・・
というように,被相続人の子孫がいる限り,第一順位の法定相続人はずっと継承していきます。
「子がいなければ孫,孫がいなければひ孫」というように,法定相続人が継承していくことを,法律用語で「代襲相続」と言います。
ちなみに,被相続人の子や孫のことを法律用語で「直系卑属」と言います。
言い方がちょっと・・・です。(苦笑)

第二順位:父母

被相続人に第一順位の法定相続人(子や孫)がいない場合,父母が第二順位の法定相続人となります。
第一順位の相続人と同様,父母が亡くなっていて祖父母が存命の場合は祖父母が第二順位の法定相続人となり,祖父母も亡くなっていて曾祖父母が存命の場合は・・・というように,第二順位の被相続人も遡っていきます。
(しかし「代襲○○」という言い方はしません)
ちなみに,被相続人の父母や祖父母などのことを法律用語で「直系尊属」と言います。
こちらは何となく腑に落ちる感じですね。

第三順位:兄弟姉妹

被相続人に第一順位の子も第二順位の父母もいなければ,兄弟姉妹が第三順位の法定相続人となります。
もし,兄弟姉妹が亡くなっていて甥姪が存命の場合は,甥姪が第三順位の法定相続人となります。
今までの感じだと,甥姪が亡くなって甥姪の子が存命の場合は・・・と続きそうですよね。
でも実は,第三順位の法定相続人の場合,代襲相続は甥姪で止まります
甥姪が亡くなっていて甥姪の子が存命でも,甥姪の子は第三順位の法定相続人になれません。

以上が民法で決められている法定相続人になります。

多少の例外はありますが,基本的にはこの通りです。

受遺者

受遺者とは,遺言によって遺産を受け取ることができる人や団体のことをいいます。
遺言によって法定相続人ではない人や団体に遺産を渡すことを「遺贈」と言い,遺贈を行う人を「遺贈者」と言います。
法定相続人の場合はそれぞれ「相続」「被相続人」と言いますね。
そして遺言によって遺産を受け取る受遺者には,その受け取り方によって「特定受遺者」と「包括受遺者」に分類されます。
逆に遺贈する側からいうと「特定遺贈」 「包括遺贈」となります。
特定受遺者と包括受遺者,それぞれどのような立場になるのか,説明していきます。

特定受遺者

特定受遺者とは,遺言で指定した遺産を遺贈される人をいいます。
例えば,遺言によって「○○銀行の預金」とか「□□市に所有する土地」を「相続 太郎」さんに遺贈する,ということです。

特定受遺者の特徴は次のとおりです。
 ・被相続人の債務を引き継ぐことはなく,遺産分割協議に参加する必要もありません
  遺言で指定された遺産だけが特定受遺者が受け取る遺産となります。
  そのほかの遺産を引き継ぐことはなく,遺産分割協議に参加する必要もありません。
  特定受遺者に関係するのは「遺言で指定された遺産」だけなのです。
 ・いつでも遺贈を承認または放棄できます
  法定相続人が相続放棄する場合は三か月以内に行う必要がありますが,
  遺贈を放棄するのに期限はありません。(民法九百八十六条
 ・特定受遺者が死亡しても代襲相続は発生しません
  代襲相続は法定相続人だけの権利です。
  たとえ遺言の効力発生時に受遺者が亡くなっていても,代襲相続は発生しません。

包括受遺者

包括受遺者とは,遺産の包括的な遺贈を受けた人のことをいいます。

・・・なんのこっちゃ?って感じですね。

「包括的」というのは,遺贈する遺産を特定せず「全体の2分の1」などのように割合を指定して遺贈することです。
特定遺贈は遺産を指定し,包括遺贈は遺産の割合を指定する,ということです。

包括受遺者の特徴は次のとおりです。
 ・相続人と同じ権利義務があります
  基本的には相続人と同じ権利義務があります(民法九百九十条)ので,
  遺産分割協議にも参加しなくてはなりません。
 ・法定相続人には認められている「遺留分」が包括受遺者には認められていません
  遺留分とは,兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者,子,父母など)に保障されている,
  最低限取得できる遺産のことをいいます。
  これは法定相続人にだけ認められた権利なので,包括受遺者には遺留分はありません。
  (民法千四十二条
 ・いつでも遺贈を承認または放棄できます
  法定相続人が相続放棄する場合は三か月以内に行う必要がありますが,
  遺贈を放棄するのに期限はありません。(民法九百八十六条
 ・包括受遺者が死亡しても代襲相続は発生しません
  代襲相続は法定相続人だけの権利です。
  たとえ遺言の効力発生時に受遺者が亡くなっていても,代襲相続は発生しません。

このように「相続人には法定相続人と受遺者がいる」ということがお分かりいただけたでしょうか。

いかがでしたか?
今回は聞きなれない法律用語がたくさん出てきました。
とは言え,難しい言葉は覚えなくても,こんな人たちが相続人になるのだなぁ・・・と思っていただけたらOKです。
大まかなところだけでも押さえておけば,いざというとき「なんのこっちゃ」にならずに済みますからね。

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