相続って何をすればいい? まずは大まかな流れをおさえておきましょう。

相続

続と聞いて,何をするのかピンとくる方はきっと少ないでしょう。
なぜなら普通,相続は一生のうち1度か2度しか経験しないからです。
相続以外でも,(職業としている場合を除いて)長い人生の間に1~2度しか経験しないコトに詳しい方,いらっしゃいますか?

一言で相続といっても,遺言の有無から始まり,被相続人(亡くなった方)や相続人の状況,相続する資産や負債の状況などが複雑になれば,相続の手続きもまた複雑になります。

全てのパターンに対応した説明をしようと思うと本が何冊も書けるくらいの分量になりますので,今回は「相続が始まったら何をすればいいのか」の大まかな解説をしたいと思います。

相続が始まったら何をすればいいのか


まず相続が始まった時に何をすればいいのか,大まかに言うと次のとおりです。

  • 遺言の有無を確認する
  • 相続人が誰になるのかを調査・確定する
  • 「どこ」に「どんな相続財産」が「どれだけ」あるのか調査する
  • 遺産分割協議を開いて遺産分割協議書を作る
  • 単純承認・限定承認・相続放棄を選択する
  • 遺産の相続手続きをする


では,それぞれ説明していきます。

遺言の有無を確認する


相続が始まった時,最初に確認するのは遺言の有無です。

なぜ遺言の有無を最初に確認するのでしょうか。

それは,遺言があるかないかで,その後の相続手続きが大きく変わってしまうからです。
法的に有効な遺言が残されていれば,遺言の内容に従って相続手続きを進められますが,遺言がなかったり法的に無効である場合は,相続人や相続財産の調査,遺産分割協議が必要になります。

遺言の有無を調べる場合,まず公証役場法務局に確認します。
被相続人(亡くなった方)が公正証書遺言を作成していれば公証役場に保管されていますし,自筆証書遺言を作成した場合でも法務局に保管できる制度が始まっていますので,まずはこの2か所を確認してみます。

ここになければ,普段からお付き合いのある弁護士や税理士,親しい友人などに確認してみましょう。

ご自宅に保管している場合もありますので,机や書棚,仏壇などを探してください。

ここで注意があります。

ご自宅やご友人の手元に封印された遺言があった場合,決してその場では開けないでください
公証役場や法務局に保管されていない遺言の場合,家庭裁判所での検認手続き民法千四条)が必要です。
検認をしないで遺言を開封すると,五万円以下の過料民法千五条)が科せられることになります。
別の記事で説明しますが,遺言の検認を簡単に言うと,内容の確認と偽造されることを防ぐための手続きということになります。
何が書かれているのか,早く中身を確認したい気持ちはわかりますが,必ず検認手続きを行ってください。

相続人が誰になるのかを調査・確定する


以降は,遺言がなかったものとして話を進めます。

次は相続人が誰になるのかを調査します。

遺産相続をするために話し合い(遺産分割協議)を開くのですが,その話し合いには相続人が全員参加する必要があります。
もし相続人が1人でも欠けると,話し合いは無効になってしまいます。
そのためできるだけ早く調査して,相続人が誰になるのかを確定しれければなりません。

相続人の調査には,被相続人(亡くなった方)が生まれてから亡くなるまでの戸籍をすべて取り寄せ,被相続人の子,両親,兄弟姉妹というように戸籍を辿り,誰が相続人になるのかを確定する必要があります。

これだけ聞くと簡単そうですが,被相続人の戸籍が市外や県外にある場合,そちらの役所から戸籍を取り寄せなければなりません。
被相続人が結婚・離婚・養子縁組などによる転籍を繰り返していると,複数の役所から戸籍を取り寄せることになり,とても手間と時間がかかります。
これは相続人の側にも言えることで,そうなると相続人の調査・確定は大変なことになります。

平日は仕事などで時間が取れない方やご自身で動くのが困難な方は,専門家に依頼するほうが良いかもしれません。

「どこ」に「どんな相続財産」が「どれだけ」あるのか調査する


次に相続財産として,「どこ」に「どんな相続財産」が「どれだけ」あるのかを調査します。

ここで言う相続財産とは,預貯金や不動産といったプラスの財産ばかりでなく,住宅や自動車のローンなどのマイナスの財産も含まれることに注意してください。

どのような相続財産があるのかが分からないと遺産分割協議も開けません。
プラスの財産よりマイナスの財産のほうが多い場合は,相続放棄も考えなければいけません。
また遺産分割協議を早く始めるためには,相続財産の調査もできるだけ早くやらなければなりません。

預貯金は通帳や残高証明書の取り寄せで確認できますし,不動産も固定資産税評価証明書を取り寄せれば特定できます。

住宅や自動車のローンなども,金融機関や貸金業者に問い合わせれば,明細を発行してもらえます。

とは言え,相続財産が多岐(現金,預貯金,有価証券,不動産,宝石,貴金属,絵画,自動車,ゴルフ会員権,借金,未払いの税金や家賃など)にわたる場合,調査には手間も時間もかかります。

平日は仕事などで時間が取れない方やご自身で動くのが困難な方は,専門家に依頼するほうが良いかもしれません。

遺産分割協議を開いて遺産分割協議書を作る


相続人と相続財産が確定したら,遺産分割協議を開催します。

遺産分割協議の開催に期限はありませんが,相続税の申告や納税「被相続人が死亡したことを知った日」の翌日から十箇月以内になりますので,被相続人と相続財産が確定したらできるだけ早く開催したほうが良いようです。

遺産分割協議は相続人全員の合意が必要ですので,折り合いが悪い相続人を参加させなかったりすれば,遺産分割協議は無効になるので注意してください。

相続人の中に行方不明者や未成年者がいる場合は,家庭裁判所に申し立てて不在者財産管理人特別代理人を選任してもらう必要があります。

あまり考えたくありませんが,もし遺産分割協議で一部の相続人の協力が得られなかったり「争族」になってしまった場合,弁護士に仲介を依頼する,家庭裁判所に遺産分割調停や審判を申し立てる,などの対応が必要になります。

遺産分割協議がまとまったら,結果を遺産分割協議書として作成し,相続人全員の署名捺印をしてもらいます。
相続手続きは,作成した遺産分割協議書を使って行われます。

なお,遺産分割協議書の書き方に決まったルールはありませんが,いくつかのコツがあります。
ご自身で作成するのが難しい方は,専門家に依頼してみてください。

単純承認・限定承認・相続放棄を選択する


相続財産の引き継ぎ方として,単純承認限定承認相続放棄のいずれかが選択できます。

別の記事で詳しく説明しますが,簡単に言うと
 単純承認:プラス・マイナスの財産すべてを相続する。
 限定承認:プラスの財産の範囲でマイナスの財産を清算し,残りを相続する。
 相続放棄:プラス・マイナスの財産すべてを相続しない。
ということになります。

なお,限定承認と相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から三箇月以内に家庭裁判所に申述しなければなりませんので,時間切れには注意してください。

特に何もしなければ単純承認したとみなされますが,マイナスの財産を見落としていると大変なことになります。

いずれを選択するにしても,全ての相続財産を調査してから決めたほうが良いでしょう。

遺産の相続手続きをする


相続人と相続財産が確定して,誰が何をどのくらい相続する・しないが決まったら,最後は遺産の相続手続きを行います。

預貯金口座の解約や名義変更,保有する株式の名義変更や現金化,不動産の所有権の移転登記や売却,自動車の名義変更や売却など,プラスの財産に対する手続きはたくさんあります。
マイナスの財産も清算しなければならないでしょう。

もし相続税がかかるのであれば,「被相続人が死亡したことを知った日」の翌日から十箇月以内に申告・納税しなければなりません。
不安な方は早めに税理士に相談すべきです。

このように,相続の手続は多岐にわたり,時間も手間もかかります。
ここには書いていない書類もたくさん必要になります。

平日は仕事などで時間が取れない方やご自身で動くのが困難な方は,専門家に依頼するほうが良いかもしれません。

いかがですか。
「相続って大変だなぁ」と思いますか?
・・・大変なんです。(笑)
今回は大まかに書いてみましたが,実際はもっと細かく考えることがたくさんあります。
ご自身ですべての手続きを行うことも出来ますが,大変な手間と時間がかかる場合が多いようです。

相続は,一生に一度か二度のことです。

間違いなくサポートしてもらえる専門家を頼ってみてはいかがでしょうか。

相続・遺言のご相談は、行政書士 戸田事務所まで

対応エリアは岩手県全域で、現在は盛岡市、滝沢市、雫石町、岩手町、矢巾町、紫波町を中心に業務を行っております。
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