法定相続分とは? 相続人が受け取る遺産の割合について説明します。

相続

ラマや映画の相続争いのシーンで,「自分の法定相続分は・・・」なんてセリフ聞いたことはありませんか?

法定相続分ってなんでしょう。

法定相続分が何を指しているのか,説明できる方は少ないと思います。
いざ自分が相続人になった時,どのくらいの法定相続分があるのか,わかりますか?

今回は,案外知らない法定相続分について説明します。

法定相続分とは

そもそも「法定相続分」とは何のことでしょうか。

「法律で決まっている相続の割合」と思ったあなた,半分正解です。

「法定」とあるように,法定相続分は相続財産を受け取る割合を法律で決めてはいますが,「この通りにしなさい」と言っているわけではありません。

法定相続分は,
「相続人の立場によって,受け取る財産の割合の「目安」を法律で定めたもの(民法九百条)」
ということになります。

「目安?法律で決まっている割合なのに?」

そうですよね,法律で決まっている遺産分割の割合なのに「目安」って・・・

実は,遺産分割は遺言書,遺産分割協議の順に優先されるのですが,遺言書もなく遺産分割協議も物別れに終わってしまえば・・・その時初めて「法定相続分」が出てきます。
遺産分割でもめた相続人が家庭裁判所で遺産分割調停を行うと,裁判所から遺産分割の割合として法定相続分を示されることになります。

もちろん家庭や相続人の事情,相続財産の状況(分割や換価が難しい)などがありますから,法定相続分の通りに遺産分割できるわけではありません。

だから「法定相続分」は「目安」として提示され,相続人の合意を図る基礎になるのです。

誰がどのくらい相続財産をもらえるの?

まず相続人には順位があることを確認しましょう。

相続人になれるのは

 ・配偶者
 ・子・孫などの直系卑属
 ・父母・祖父母などの直系尊属
 ・兄弟姉妹などの傍系血族


ですが,相続の順位もこの通りになります。

 ・配偶者 :常に相続人(第1~第3順位がいても必ず相続人になる)
 ・直系卑属:相続の第1順位(配偶者と共に相続人になれる)
 ・直系尊属:相続の第2順位(第1順位がいなければ,配偶者と共に相続人になれる)
 ・傍系血族:相続の第3順位(第1,第2順位がいなければ,配偶者と共に相続人になれる)


これを踏まえて,法定相続分を見ていきます。

相続人が配偶者だけの場合

相続人が配偶者だけで,他(第1~第3順位)の相続人がいない場合,
配偶者の法定相続分は「相続財産のすべて」となっています。
この場合に遺産分割調停ってことは無いかもしれませんが,民法では上記のように決まっています。

相続人が配偶者と子(直系卑属)の場合

相続人が配偶者と子の場合,法定相続分は配偶者と子それぞれ1/2ずつになります。
子が複数いる場合は,1/2をさらに子の人数で等分します。
2人の子がいれば,それぞれの子の法定相続分は1/2÷2=1/4ですね。
配偶者の法定相続分は,子が何人いても変わらず1/2です。

相続人が配偶者と父母(直系尊属)の場合

被相続人に子がなく,配偶者と父母が相続人の場合,
法定相続分は配偶者が2/3,父母が1/3になります。
父母どちらもご健在であれば,1/3を2等分します。
つまり,父母それぞれの法定相続分は,1/3÷2=1/6ですね。
配偶者の法定相続分は,やっぱり変わらず2/3です。

相続人が配偶者と兄弟姉妹(傍系血族)の場合

被相続人に子も父母もなく,配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合,
法定相続分は配偶者が3/4,兄弟姉妹が1/4になります。
兄弟姉妹が複数いる場合は,1/4をさらに兄弟姉妹の人数で等分します
兄弟姉妹が4人いれば,それぞれの兄弟姉妹の法定相続分は1/4÷4=1/16です。
配偶者の法定相続分は・・・やっぱり変わらず3/4です。

配偶者がいない場合

ここまでは,配偶者がいる前提で話を進めてきましたが,もし被相続人に配偶者がいなかったらどうなるでしょう。
その時の法定相続分は,配偶者が受け取るはずだった法定相続分を順位の高い相続人で等分することになっています。
例えば,被相続人の配偶者はすでに亡く,被相続人の子が2人,両親が健在で兄弟姉妹が3人いたとします。
この場合,法定相続人になれるのは順位の高い被相続人の子2人だけですので,それぞれの子の法定相続分は全相続財産の1/2ずつとなります。

法定相続分は『目安』

配偶者や子,父母,兄弟姉妹の法定相続分について説明しましたが,改めて「法定相続分は遺産分割の目安です」と念を押しておきますね。
民法で決まっている法定相続分とは言え,全ての相続財産をきっちり分割できるかと言われると,様々な事情があって現実的ではありません。
法定相続分を基礎にして相続人同士で話し合い,相続分を決めていくための目安,という事を覚えておいてください。

いかがですか。
法定相続分は「必ずこの通りに遺産を分けなさい」という決まりではない,という事はお分かりいただけたと思います。
・・・個人的に法定相続分の話が出てくるのは,遺産分割がもめた時,という印象があります。
遺言書や遺産分割協議で,できるだけ穏やかに相続手続きをしたいものですね。

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