「遺書」と「遺言」は同じもの?違いについて解説します。

遺書

事柄,遺言について調べることが多いのですが,調べているうちに「遺書」「遺言」を同じものとして捉えている方が意外と多いことに気づきました。
違いを知らない方に「遺言を書く」と言うと,「そんな縁起でもない」とか「別に今すぐ死ぬわけじゃあるまいし」と言った反応が返ってきます。
これ,どう見ても「遺書」と勘違いしているんです。
ではそもそも,「遺言」と「遺書」は,何が違うのでしょうか。

遺書とはなんですか?

普段耳にすることがある「遺書」とは,どのようなものを指すのでしょうか。
一般的に,遺書とは「手紙」のようなものだと言われています。
その方が亡くなる前,死を意識したときなどに,自分の想いや個人的なメッセージを残す,それを「遺書」と言うことが多いようです。
「手紙」ですから,書き方に決まりはありません。その方の思うまま自由に書くものです。
そして,これが一番重要なのですが,遺書には法的な効果は一切ありません
当然ですね,手紙ですから。
手紙の中に財産の分け方が書いてあったとしても,配慮はしてくれるかもしれませんが・・・それを根拠に遺産分割はできません。
もちろん,家族やお世話になった方への感謝の気持ちを遺書に残すというのは,とても素敵な事ですが,財産の分け方などを遺書に書き残しても,それが実行される可能性は,とても低くなってしまいます。
「遺書」は,あくまで法的効果のない「手紙」のようなもの,ということを覚えておいてください。

遺言とはなんですか?

先ほど「遺書」は「手紙」のようなもの,と言いました。
では「遺言」とは何でしょうか。
実は,「遺言」は「法律文書」で,その詳細は民法で規定されています。
遺言に関する民法の規定は,第九百六十条~第千二十七条に記載されていて,何歳から遺言が作れるか,遺言にはどのような種類があるか,遺言には何を書かなければいけないか,遺言を書く際の禁止事項,遺言の効力が発生するのはいつか,など細かく規定されています。
法律文書ですから,これを根拠に遺産分割などの手続きもできます。
逆に言えば,民法の規定に従っていない遺言は,遺言とみなされません。

これでお分かりですね。

「遺書」と違い,「遺言」は民法で規定された法律文書なのです。
そして,遺言は「誰に」「どんな相続財産を」「どれくらい」残すのか,ということを,法律で決められた方式で書くものです。
自分の財産の行方を,自分の意思で決定するために必要な法律文書ですから,元気で,しっかりと考えることが出来るうちに書いておきたいものです。
ちなみに,「遺言」でも家族やお世話になった方への感謝の気持ちを書くことができます。(これを付言事項と言います。)
つまり「遺言」は,「遺書」を兼ねることも出来るようになっています。

「遺書」と「遺言」
1文字違いですが,全く別物だと言うことを解っていただけましたか?
どちらも人生の最後に残す「その人の想い」に違いはありませんが,自分の相続財産をどうして欲しいか,それを確実に実現してほしい時は,「遺言」を残したほうが良いでしょう。

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