おひとりさまの終活 準備しておきたい手続き5選

終活

ひとり様は年々増加傾向にあるようです。
生涯未率は約28%と言われていますが、それ以外にも高齢化による死別や核家族化が進んだ影響で、1人暮らしの方は多くなっています。
1人暮らしの方がお亡くなりになったとき、遺言書や相続人がなければ相続財産は国庫に帰属すると言われていますが、実情はそれほど単純ではないようです。
では、おひとり様が終活として準備しておきたいことは何があるのか、簡単に説明していきます。

おひとり様とは?

世間でよく言われる「おひとり様」。
一般的には1人暮らしの方を指した表現になります。
例えば、
 ・未婚で子供がいない「おひとり様」
 ・配偶者に先立たれた「おひとり様」
 ・離婚して配偶者や子供と離れた「おひとり様」
 ・家族とうまくいかず孤立した「おひとり様」

一言で「おひとり様」と言っても、相続人がいる・いない、相続人と近しい・疎遠、仲のいい友人がいる・いない、ご近所付き合いがある・ないなど状況は様々です。

おひとり様の財産はどうなる?

人は亡くなるとき必ずプラスかマイナスの財産を残し、それが相続財産となります。ではおひとり様の相続財産は、どのように引き継がれていくのでしょうか。
遺言書がない場合とある場合で見ていきます。

遺言書がない場合

亡くなった方に法定相続人がいれば、法定相続人に相続財産が相続されます。
しかし、亡くなった方に法定相続人がいなければ、相続財産は引き継ぐ人がいないため行き場を失います。
その時は大家さんなどの利害関係者が家庭裁判所に申し出て、相続財産管理人を選任してもらうことになります。
相続財産管理人は公告で法定相続人を探しますが、それでも法定相続人が見つからなければ、相続財産管理人はプラスとマイナスの相続財産を清算し、残りを国庫に帰属させます。
亡くなった方と特に縁のあった方(特別縁故者)からの請求があれば、清算後の財産を特別縁故者に分けることもあります。
相続人が居ないからと言ってすぐに国庫に帰属する訳ではなく、国庫に帰属するまでの間に周りの方々に時間と手間をかけて頂かなければなりません。
さらに、家財道具の整理やアパートの退去など亡くなった後の事務処理も必要になります。
アパートであれば、最初に連帯保証人、次は法定相続人が費用負担の義務を負い、どちらも居なければ大家さんが手続きや費用を負担します。

遺言書がある場合

有効な遺言書が残されていれば、基本的には遺言書の通りに相続財産を分けることができます。
法定相続人がいない場合でも、近しい友人、お世話になった方、応援したい団体などに遺産を分けることも出来ます。
ただし、遺言書では死後の事務処理までは書けません(書いても法的拘束力がありません)ので、家財道具の整理やアパートの退去など亡くなった後の事は、誰かが負担しなければなりません。

おひとり様が準備するべき終活

1人暮らしの方は、亡くなった後のことについて誰かにお願いしておかないと、周囲の方々が肩代わりすることになってしまいます。
また病気やケガなどで現在の生活に支障が出るのも大きなリスクになります。
おひとり様が何も準備しないでいると、結局大勢の方々に迷惑がかかることを考えなければなりません。
では、そのためにどんな準備ができるのでしょうか。
実は今、様々な準備ができるようになっていますので、次に紹介したいと思います。

生前事務委任契約

生前事務委任契約は、けがや病気で体の自由がきかなくなったときに、ご自身に代わって財産の管理や療養看護などを行ってもらうための契約です。
例えばお金の出し入れや家賃・公共料金などの定期的な支払い、税金の納付や住民票の取得などの行政手続きを、ご自身に代わって実施します。
また病院や介護施設などへの入院・入所手続き、サービス利用の申し込み、費用の支払いなども契約に含めることができます。
生前事務委任契約があると、万が一のけがや病気のときに安心です。

任意後見制度

任意後見制度は、ご自身の判断能力が衰えてきたときに、自分に代わって財産の管理などを行ってもらう人をあらかじめ指定する制度です。
判断能力があるうちはご自身で財産管理を行い、判断能力が衰えてきたときに財産管理をバトンタッチするイメージですね。
ただし、任意後見制度はあくまで生きている間の事務処理を行う契約です。
亡くなった後の事務処理までは委任できませんので注意してください。

遺言書

先ほど書いた通り、残された相続財産は行先を決めなければいけません。
「自分には引き継ぐような財産はない」と言う方もいらっしゃいますが、プラスかマイナスの財産は必ず残ります。
何も決めていないと、利害関係者や関係の薄い法定相続人に余計な負担をかけてしまうかもしれません。
ご自身の財産の行先をご自身の想いで決めること、ご自身が亡くなった後で他の方に迷惑が掛からないようにすること。
おひとり様は遺言書を作っておくことを強くお勧めします。

エンディングノート

遺言書を書くのに抵抗がある方もいらっしゃいます。
そんな方にはエンディングノートをお勧めします。
エンディングノートには法的拘束力がありませんが、遺言書よりも気軽に書けて形式も気にする必要はありません。
種類も豊富で、様々なエンディングノートが書店や文房具店で販売されています。
自治体などのホームページからダウンロードできる所もありますので、その中から気に入ったものを選んでください。
エンディングノートを少しずつ書いていくことで、ご自身の負担も少なくて済みます。
またご自身の現在の状況がエンディングノートにしっかり書かれていると、お亡くなりになった後の事務処理が数段楽になります。
最近のエンディングノートでは、デジタル資産やデジタル遺品の管理も出来るようになっていますので、スマホの中にある写真や連絡先などもあきらめずに済みます。

死後事務委任契約

遺言書は必ず残していただきたいのですが、遺言書だけでは足りない部分もあります。
それはご自身が亡くなった後に発生する様々な事務処理を遺言書に書いても法的拘束力がない、という事です。
それを補うためには、死後事務委任契約が便利です。
ご自身が行っていた様々な契約の解除、葬儀や納骨に関する希望、医療費や介護施設利用料などの支払い、一緒に暮らしたペットの引き取りなど、死後事務委任で契約できることは様々あり、遺言書で出来ないことを補完してくれます。

まとめ

おひとり様の生活には、様々なリスクが潜んでいます。
今後の生活を少しでも安心して暮らせるようにするため、必要な終活を考えてみてはいかがでしょうか。

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